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December 29, 2007

レンガ建物の倒壊実験

12/27防災科学研究所は、実物大のレンガ造りの建物を揺らし倒壊実験を行った。
どうやら、揺れにより窓の部分からX字状に亀裂が入り倒壊するようだ。

実験内容はこちら、実験映像はまだ公開されていない。

 2003年12月26日のイラン・バム地震では、レンガ造りの住宅が倒壊し、約4万人もの命が失われました。
その後もアジア各地での大きな地震により、レンガ造りの住宅が倒壊し、多くの命が失われています。

 レンガ造りの建物が倒壊する様子を分析し、国際的な情報共有を行う事は、国際貢献としてもとても有意義で素晴らしいと思います。

ODAの予算が減っても、こういった形での貢献も有意義です。

 東大生産技術研究所の目黒研究室では、以前からレンガ造りの建物の耐震に関する研究も行っており、安価な荷造りテープ(黄色で平らな紐)を使った耐震工法を開発していた。

 また「耐震化デジタルアーカイブス」を開設し、日本や世界に向け耐震補強工法の事例を紹介している。
 

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December 25, 2007

災害防衛論

以前紹介した「人はなぜ逃げ遅れるのか」「無防備な日本人」などの著者 広瀬弘忠氏の新著「災害防衛論」を読んだのでご紹介します。

 これは防災のマニュアル本ではなく、テロや感染症のバンデミックなどを含め、あらゆる災害に共通する災害に対する備えの考え方の本です。

 今、私たちが遭遇しうる災害はとても増えている。 昔からあるが、今になって顕在化し広く知られるようになったと言ったほうが良いのかもしれないが・・・

 個々の災害に対して個別にマニュアル的に対策を行う前に、基本的な考え方を知っておきたい。
国の方針やマスコミによる報道が正しいとは言えないし、目先の対策に追われていては、とても対策しきれない。

 基本的な考え方があって、個々の状況に応じて対応すべきで、部分最適よりも全体最適の考え方が必要だ。

本書の示すキーワードは、「災害弾力性」と「受動的安全」。

 著者は、災害を予防する力+災害に耐えうる力を「災害抵抗力」、そして被害からの回復力を含めた力を「災害弾力性」と呼んでいる。

 感染症で言えば、感染しにくく、感染しても症状が軽い事を「抵抗力」、さらに感染しても早期に回復する力を含めて「弾力性」と言っているようだ。

 そして、抵抗力をつけるための安全対策には「能動的安全」と「受動的安全」がある。
能動的安全とは、被害が起きないようにする対策。 受動的安全とは、被害が起きても被害が少なくなる対策。
車で言えば、ABS(アンチロックブレーキ)やレーダーによる衝突回避が「能動的安全」。 エアバッグやシートベルトが「受動的安全」。

 能動的安全は、災害による被害を想定しそれを防ぐ対策を行うが、想定外の事態となると被害が発生してしまう。 
 災害では常に想定外の事は起こりうるのだから、「受動的安全」を重視すべきだという考えだ。
ほぼ「フェイルセーフ」と同じ考え方だろう。

 様々な災害が想定される現代、全ての災害に対する備えは難しい。
しかし、「災害回復力」や「受動的安全」は、複数の災害に対して有効なものが多いから、この二つを重視すべきなのだろう。

 たとえば地震、風水害、テロ、事故などインフラが停止する災害はたくさんあるが、自家発電装置やバックアップ対策などは、共通して有効な対策だ。
 
 また家庭での備蓄食糧や水も同様。 インフラが停止しても有効だし、感染症が流行しても外出という最大のリスクを冒さずに済む。

 こういった対策が、「災害回復力」「受動的安全」を重視した対策と言えるのではないだろうか。

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December 21, 2007

ジョセリーノの予知夢

12/20にTV放映されたジョセリーノの予知夢の番組、なかなか興味深いですね。
2015年以降、ヨーロッパの大干ばつをはじめとして、地球温暖化の影響により膨大な被害が出て、2043年には大変な事態へ発展する・・・

 ジョセリーノの予知夢(予言とは言わず予知夢と表現したほうが適切なのでしょう)では、はずれたものも結構あります、特に自然災害関係では。

 ウィキペディアの「ジョセリーノ」の説明に、過去および未来の予知夢の内容と、当りはずれが紹介されています。

 この地球温暖化の影響による災害については、「不都合な真実」をはじめとする地球温暖化の影響に関する予測と符号する点も多いように感じました。

 発生する年は別として、シナリオとしてはありそうな話だと感じました。
気候変動には惰性があり、いますぐCO2排出制限をしても止める事のできないのかもしれませんが、遅らせる事はできるでしょう。 その間に解決に繋がる技術的なイノベーションが起きる事を期待したいですね。

 エコバックを持つとか持たないとか小さな改善だけでなく、 私たちの価値観やライフスタイルも大きく変えるべき時代になったように感じます。

2007/12/28追記捕捉
ウィキベディアのジョセリーノのページへのリンクを貼ってありますが、現在ウィキペディアではこの項目を削除対象として審議中で中身を見る事ができません。
 ただし、画面上の履歴のタブを選択し、「2007年12月25日(火)Ginggers」のリンクをクリックすると、公開されていた最後の記事の内容が表示されるようです。

 ただし近いうちに履歴も削除される可能性がありますので、内容を知りたい方はお早めに!

2008/1/31追記
 「1月末に東京に大雪」というのは、はずれたようですね。
関連記事「ジョセリーノの予知夢 ズレた。」をアップしました。

2008/5/24追記
 「ジュセリーノ日本語公式HP」をアップしました。

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December 17, 2007

傾いた家を建て替えずに直す。

能登半島地震で被災し大きく傾いた店舗、応急危険度判定は「赤」の危険という判定だったが、建て替えずに直せたそうだ。

 この店舗、築35年の木造。
建て替えれば3000万円かかるところ、改修では1/3の費用で済んだそうだ。

 この改修方法は、「立て起こし」と呼ばれる伝統建築の修復技術を使ったそうだ。
木造建築では、古い建築物が地盤沈下などで傾き、これを修復する技術は確立されているそうだ。

 土壁を落とし、構造を固定しているくさびなどを緩め、ジャッキとワイヤーで水平・垂直を元に戻すやり方らしい。

以上。日経KEN-Platz(無料会員登録が必要)

 応急危険度判定「赤」と判定されれば、立て直しが必要と考えてしまうが、長い歴史のある木造建築では元に戻す方法も確立されているのですね。

 昔「ダッシュ村」で、古い土壁を再生利用したり柱を再利用したりしているのを見て、木造建築ってエコな建物だなと感心した記憶があります。

 江戸時代、度重なる大火でも、短期間に江戸の町は復旧してきました。
すべての建物が新しい木材で建て直されたのではなく、残った廃材をうまく再利用してきたのでしょうね。

 地震被害の大きな課題のひとつに膨大な災害廃棄物の問題があります。
 これからの時代、環境の面からも、こういった建物の修復技術というのは、もっと注目されるべきだと思います。

 地震被害にあっても、「命を失わず、早く元の生活に戻れれば良い」という発想で考えると、耐震基準の考え方も変わってくるのかもしれません。

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December 09, 2007

携帯用緊急地震速報開始

NTTドコモは、12月10日から携帯向け緊急地震速報などを発信する「緊急速報「エリアメール」」の運用を開始する。
 サービス料は無料で、対応携帯から受信設定をするだけ。
対応機種は、905iシリーズ以降の機種のようだ。
緊急地震速報を受信すると、画面にポップアップメッセージが表示され、専用の着信音とバイブレーションで知らせてくれるようだ。
<<報道発表資料と利用イメージ>>

 このサービスは、他のメールなどのメッセージサービスとは異なる方式を使うため、一斉に同報しても輻輳などの心配はないようだ。
 実際に広範囲で通知するような事態になった場合、正しく機能するのか、受信端末を持つ人とその周囲に与える人への影響など、興味深い。

 周囲にいる人や、施設から緊急地震速報が発令された事が突然知らされる可能性がある訳で、対応端末を持つ持たないに関わらず、さまざまなシーンで「今、知らされたらどう行動するか」をイメージしてみる事をお勧めしたい。

 適切な行動が取れる人は少なく、周りの誰かの動きに同調してしまう人が多いのではないでしょうか。
どんなに良いシステムで、判断し行動するのは人間です。
 正しい知識と、できれば経験(訓練)で、適切な行動が取れる人でありたいですね。

なお、同様のサービスがKDDIからも提供されるはずです。

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December 08, 2007

義援物資と地域経済

被災地には、多くの人の善意で義援物資が集まり、多くのボランティアが集まる。
そして無償で様々なサービスが行われる。 とても素晴らしい事ですが、良い事ばかりではありません。

 被災直後の応急対応の時期は別として、2週間から1ヶ月以降は「復興」へ向かいます。
地元の商店がお客さんのために、がんばって早期に開店した、その向かい側でボランティアが炊き出しを行ったり、支援物資が無償で配られる。 そんな状況もあったようです。

 誰もが被災し、お金に不安のある時期ですから、無償の物やサービスがあればそれを利用したくなるものです。
結果、大変な中開店した商店は物が売れず、地域経済が活性化せず、復興も進まないといった事が新潟で起きていたようです。

 被災地の願は、一日でも早く元の生活を取り戻すこと。 そのためには地元にお金が落ち、地域経済が廻り出す事が大切です。

被災後、応急対応の時期が過ぎたら、贈るのは義捐金にすべきでしょう。
また、地元の仕事がなくなれば、人が流出します。 人が減れば地域経済の復興は望めません。

 企業が早期に事業を再開する事も大切でしょう。 BCPの策定など、企業の事前の備えも必要ですし、被災後は取引企業が人・もの・金の面で協力する事もとても大切だと思います。

 新潟中越沖地震んでは、自動車パーツメーカー「リケン」が操業を停止したため、自動車メーカーが生産停止の状況に至った事はずいぶん話題になりました。

 あの時は、各自動車メーカーが人を送り込み、操業再開に向けてガンバル姿が印象的でした。

企業は自社が被災した場合のみならず、取引会社(サプライチェーン)が被災した場合の対策なども視野にいれるべきだと感じました。

 また、小千谷市では「弁当プロジェクト」というプロジェクトがあったそうです、市が被災者に配る弁当を地域の業者組合が一丸となって製造し、被災者には温かい弁当が渡り、地元業者の操業再開へ一役かったそうです。

 組合の会員業者は、それぞれインフラや設備が使えないといった被災状況でしたが、それぞれできる範囲で作業を分業したそうです。

 この経験を踏まえ、中越沖地震では柏崎弁当プロジェクトが発足、ガス協会や東京電力が全国から集めた復旧支援に駆けつけた人々の弁当を、地元の組合が一丸となって供給したそうです。

 この場合は、事業組合と東京電力やガス協会といった民対民の連携で、行政が介在せずに実現した点がすばらしいですね。

 「被災地はたいへん!! = 与える支援」という発想から、「早く元の生活を取り戻すにはどんな支援をすべきか」という視点で発想する事の大切さを感じました。

 この「弁当プロジェクト」については、防災科学技術研究所の永松氏が「地震に負けるな地域経済 小千谷・柏崎発 「弁当プロジェクト」のススメ」という小冊子を発行されています。

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December 03, 2007

噴火警報運用開始

2007年12月1日より、気象庁は噴火警報、噴火警戒レベルを発表する事となった。
過去記事「地震動と火山現象が予報・警報に」でご紹介したとおり、気象業務法の改正によるもの。
 気象庁の発表資料によると、現在の火山の状況から、噴火警戒レベルを導入する火山は16火山で、この他に92火山が噴火警戒レベル未導入の火山で、12/1時点の対象火山は計108火山。 ちなみに日本にはこの他にも89の活火山がある。

[噴火警戒レベル導入火山] ()内は12/1現在の噴火警戒レベル
現在の対象:樽前山(1)、北海道駒ケ岳(1),岩手山(1),吾妻山(1),草津白根山(1),浅間山(1),富士山(1)、伊豆大島(1)、九重山(1)、阿蘇山(1)、雲仙岳(1)、霧島山 御鉢(1)、霧島山 新燃岳(1)、桜島(2)、薩摩硫黄島(2)、口永良部島(2)、諏訪之瀬島(2)

 レベル1は平常レベルで静穏な状況だが、火口内は火山灰の噴出等危険な場合がある。
 レベル2は火口周辺規制レベルで、火口付近は危険
 レベル3は入山規制レベルで、居住地域のそばまで危険
 レベル4は避難準備レベルで、居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生する恐れがある。
 レベル5は避難レベルで、居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生もしくは切迫している状況。

 火山警報の対象となる人は、全体から見れば少ないでしょう。
 このニュースも「自分には関係ない」と思われた方も多いと思います。
  この警報が直接関係するのは、登山や温泉に行くようなケースでしょう。
火山の付近にある温泉地も多く、被害が発生している場所もあります。

 では、火山災害が大都市とは無縁の災害かというと、そうではありません。
以下に、火山災害の被害と影響範囲をご紹介します。

 1)降灰、噴石 もっとも影響範囲の大きな被害です。
   富士山の1707年の宝永噴火では、南関東地方に5cmの降灰がありました。
   直接生命の危険を及ぼす被害ではありませんが、現代社会において降灰による経済活動への影響は大きいでしょう。

   日本では概ね火山の東側に降灰し、首都圏に影響する可能性があるのは、富士山と浅間山の噴火によるものが考えられます。

    昔、桜島の噴火により、鹿児島市内は大変だったといった話を聞いた事があります。
 
   また、歴史的にみると、降灰によって地球規模で影響が出るケースもあり、海外の火山噴火であっても気象の変動などにより、社会生活に影響がでる可能性があります。

  火山弾は、溶岩の塊が飛来するもの(高温)。 噴石は、噴火によって火口付近の岩石や古い溶岩が飛来するもので、火口から3~4km以内の山地内の場合が多いようです。

 2)火砕流
  高温の火山ガスと大量の火山灰や軽石などの火砕物が一体となって、高温(600~700度)高速(360km/h)で、高温熱風を伴って押し寄せるもので非常に危険です。

  高温の塊が新幹線並みの速さで向ってくる事を考えると怖ろしいですね。

 歴史的にみると、7万年前の阿蘇山の火砕流は180km離れた中国地方西部まで達したそうです。

 3)火山泥流
  高温の火砕物が、雪や氷に触れ水となり、土石流のように高速で流れる物が火山泥流です。
  また、噴火で積った火山灰が大雨により泥流化する場合もあります。

  ほとんど地形にそって低いところへ流れますので、避難予測がしやすいといえます。

 4)山体崩壊、岩屑なだれ、津波
  火山なのに津波?と思われるでしょう。 山が崩壊し、大量の土砂が海に落ちる事により津波が発生します。
  1792年の雲仙岳の崩壊では0.3キロ立方メートルの土砂が有明海に入り、対岸の熊本沿岸に23mの津波を発生させています。

   本来火山は不安定で、噴火や地震によって山の形状が一変するような大崩壊を起こすそうです。
1980年米セントヘレンズ火山、日本では1888年磐梯山などがあり、大型火山の一生の中では何度も起きる事のようです。 ただ、その一生が数10万年という、とてつもなく長いのです。

  美しい富士山も永遠に続く安定した姿のように見えますが、とても不安定な成層火山だそうです。
 富士山の前回の大噴火は宝永4年(1707年)11月。 この噴火で宝永山が出現しました。 同年10月が宝永の大地震で、東海・南海・東南海連動型の地震が発生しました。

 東海地震の発生が懸念されていますが、宝永の時と同様、地震の後に富士山が大噴火を起こすという可能性も考えられ、その時には山体崩壊が起き、富士山の姿が変わってしまうのかもしれません。

 5)溶岩流・火山ガス
  ハワイの火山の溶岩の映像などを見ていると、水のように流れているように見えますが、ハワイや富士山、伊豆諸島など(玄武岩質)の溶岩の粘度は高く、多くの日本の火山(安山岩質)の溶岩は粘度が低く、速度も遅い。

  秒速数十センチ程度の速度でゆっくり流れ、その間に冷えて固まるので、山麓まで溶岩が達する事はないようです。

火山ガスは、大部分が水蒸気で、二酸化炭素、二酸化硫黄、硫化水素、塩化水素など有害なガスが含まれます。 2000年以降の三宅島では、火山ガスの影響により二酸化硫黄ガスが噴出したため、長期間の全島避難という状況になりました。

 火山災害では、地震に比べると前兆現象も把握しやすく、事前の避難もしやすいと言えますが、降灰などによる経済被害の発生や、なにより「いつ終わるか判らない」というのが被害の特徴かもしれません。

 多くの人には無縁の火山災害かもしれませんが、被害が及ぶ可能性がない訳ではない事は覚えておく必要があると思います。

p.s. 10日も間をあけてしまいました。失礼致しました。 

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