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December 03, 2007

噴火警報運用開始

2007年12月1日より、気象庁は噴火警報、噴火警戒レベルを発表する事となった。
過去記事「地震動と火山現象が予報・警報に」でご紹介したとおり、気象業務法の改正によるもの。
 気象庁の発表資料によると、現在の火山の状況から、噴火警戒レベルを導入する火山は16火山で、この他に92火山が噴火警戒レベル未導入の火山で、12/1時点の対象火山は計108火山。 ちなみに日本にはこの他にも89の活火山がある。

[噴火警戒レベル導入火山] ()内は12/1現在の噴火警戒レベル
現在の対象:樽前山(1)、北海道駒ケ岳(1),岩手山(1),吾妻山(1),草津白根山(1),浅間山(1),富士山(1)、伊豆大島(1)、九重山(1)、阿蘇山(1)、雲仙岳(1)、霧島山 御鉢(1)、霧島山 新燃岳(1)、桜島(2)、薩摩硫黄島(2)、口永良部島(2)、諏訪之瀬島(2)

 レベル1は平常レベルで静穏な状況だが、火口内は火山灰の噴出等危険な場合がある。
 レベル2は火口周辺規制レベルで、火口付近は危険
 レベル3は入山規制レベルで、居住地域のそばまで危険
 レベル4は避難準備レベルで、居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生する恐れがある。
 レベル5は避難レベルで、居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生もしくは切迫している状況。

 火山警報の対象となる人は、全体から見れば少ないでしょう。
 このニュースも「自分には関係ない」と思われた方も多いと思います。
  この警報が直接関係するのは、登山や温泉に行くようなケースでしょう。
火山の付近にある温泉地も多く、被害が発生している場所もあります。

 では、火山災害が大都市とは無縁の災害かというと、そうではありません。
以下に、火山災害の被害と影響範囲をご紹介します。

 1)降灰、噴石 もっとも影響範囲の大きな被害です。
   富士山の1707年の宝永噴火では、南関東地方に5cmの降灰がありました。
   直接生命の危険を及ぼす被害ではありませんが、現代社会において降灰による経済活動への影響は大きいでしょう。

   日本では概ね火山の東側に降灰し、首都圏に影響する可能性があるのは、富士山と浅間山の噴火によるものが考えられます。

    昔、桜島の噴火により、鹿児島市内は大変だったといった話を聞いた事があります。
 
   また、歴史的にみると、降灰によって地球規模で影響が出るケースもあり、海外の火山噴火であっても気象の変動などにより、社会生活に影響がでる可能性があります。

  火山弾は、溶岩の塊が飛来するもの(高温)。 噴石は、噴火によって火口付近の岩石や古い溶岩が飛来するもので、火口から3~4km以内の山地内の場合が多いようです。

 2)火砕流
  高温の火山ガスと大量の火山灰や軽石などの火砕物が一体となって、高温(600~700度)高速(360km/h)で、高温熱風を伴って押し寄せるもので非常に危険です。

  高温の塊が新幹線並みの速さで向ってくる事を考えると怖ろしいですね。

 歴史的にみると、7万年前の阿蘇山の火砕流は180km離れた中国地方西部まで達したそうです。

 3)火山泥流
  高温の火砕物が、雪や氷に触れ水となり、土石流のように高速で流れる物が火山泥流です。
  また、噴火で積った火山灰が大雨により泥流化する場合もあります。

  ほとんど地形にそって低いところへ流れますので、避難予測がしやすいといえます。

 4)山体崩壊、岩屑なだれ、津波
  火山なのに津波?と思われるでしょう。 山が崩壊し、大量の土砂が海に落ちる事により津波が発生します。
  1792年の雲仙岳の崩壊では0.3キロ立方メートルの土砂が有明海に入り、対岸の熊本沿岸に23mの津波を発生させています。

   本来火山は不安定で、噴火や地震によって山の形状が一変するような大崩壊を起こすそうです。
1980年米セントヘレンズ火山、日本では1888年磐梯山などがあり、大型火山の一生の中では何度も起きる事のようです。 ただ、その一生が数10万年という、とてつもなく長いのです。

  美しい富士山も永遠に続く安定した姿のように見えますが、とても不安定な成層火山だそうです。
 富士山の前回の大噴火は宝永4年(1707年)11月。 この噴火で宝永山が出現しました。 同年10月が宝永の大地震で、東海・南海・東南海連動型の地震が発生しました。

 東海地震の発生が懸念されていますが、宝永の時と同様、地震の後に富士山が大噴火を起こすという可能性も考えられ、その時には山体崩壊が起き、富士山の姿が変わってしまうのかもしれません。

 5)溶岩流・火山ガス
  ハワイの火山の溶岩の映像などを見ていると、水のように流れているように見えますが、ハワイや富士山、伊豆諸島など(玄武岩質)の溶岩の粘度は高く、多くの日本の火山(安山岩質)の溶岩は粘度が低く、速度も遅い。

  秒速数十センチ程度の速度でゆっくり流れ、その間に冷えて固まるので、山麓まで溶岩が達する事はないようです。

火山ガスは、大部分が水蒸気で、二酸化炭素、二酸化硫黄、硫化水素、塩化水素など有害なガスが含まれます。 2000年以降の三宅島では、火山ガスの影響により二酸化硫黄ガスが噴出したため、長期間の全島避難という状況になりました。

 火山災害では、地震に比べると前兆現象も把握しやすく、事前の避難もしやすいと言えますが、降灰などによる経済被害の発生や、なにより「いつ終わるか判らない」というのが被害の特徴かもしれません。

 多くの人には無縁の火山災害かもしれませんが、被害が及ぶ可能性がない訳ではない事は覚えておく必要があると思います。

p.s. 10日も間をあけてしまいました。失礼致しました。 

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