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December 25, 2007

災害防衛論

以前紹介した「人はなぜ逃げ遅れるのか」「無防備な日本人」などの著者 広瀬弘忠氏の新著「災害防衛論」を読んだのでご紹介します。

 これは防災のマニュアル本ではなく、テロや感染症のバンデミックなどを含め、あらゆる災害に共通する災害に対する備えの考え方の本です。

 今、私たちが遭遇しうる災害はとても増えている。 昔からあるが、今になって顕在化し広く知られるようになったと言ったほうが良いのかもしれないが・・・

 個々の災害に対して個別にマニュアル的に対策を行う前に、基本的な考え方を知っておきたい。
国の方針やマスコミによる報道が正しいとは言えないし、目先の対策に追われていては、とても対策しきれない。

 基本的な考え方があって、個々の状況に応じて対応すべきで、部分最適よりも全体最適の考え方が必要だ。

本書の示すキーワードは、「災害弾力性」と「受動的安全」。

 著者は、災害を予防する力+災害に耐えうる力を「災害抵抗力」、そして被害からの回復力を含めた力を「災害弾力性」と呼んでいる。

 感染症で言えば、感染しにくく、感染しても症状が軽い事を「抵抗力」、さらに感染しても早期に回復する力を含めて「弾力性」と言っているようだ。

 そして、抵抗力をつけるための安全対策には「能動的安全」と「受動的安全」がある。
能動的安全とは、被害が起きないようにする対策。 受動的安全とは、被害が起きても被害が少なくなる対策。
車で言えば、ABS(アンチロックブレーキ)やレーダーによる衝突回避が「能動的安全」。 エアバッグやシートベルトが「受動的安全」。

 能動的安全は、災害による被害を想定しそれを防ぐ対策を行うが、想定外の事態となると被害が発生してしまう。 
 災害では常に想定外の事は起こりうるのだから、「受動的安全」を重視すべきだという考えだ。
ほぼ「フェイルセーフ」と同じ考え方だろう。

 様々な災害が想定される現代、全ての災害に対する備えは難しい。
しかし、「災害回復力」や「受動的安全」は、複数の災害に対して有効なものが多いから、この二つを重視すべきなのだろう。

 たとえば地震、風水害、テロ、事故などインフラが停止する災害はたくさんあるが、自家発電装置やバックアップ対策などは、共通して有効な対策だ。
 
 また家庭での備蓄食糧や水も同様。 インフラが停止しても有効だし、感染症が流行しても外出という最大のリスクを冒さずに済む。

 こういった対策が、「災害回復力」「受動的安全」を重視した対策と言えるのではないだろうか。

災害防衛論 (集英社新書 (0416)) (集英社新書 (0416))
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